人の一生の神事・人生儀礼
帯祝い
近年「子どもを作る」と簡単にいう人が多くなりましたが、新しい生命が胎内に宿るのは、必ずしも努力すればできるというものではありません。その意味で神々の授かりものという面があるのは、今でも変ることはありません。ではありますが、出産には生みの苦しみとともに、つい近年までは生命にかかわる危険を伴うことが多く、高齢出産による危険や先天異状、早産や未熟児の危険など、現在でも少なくありません。
妊娠5か月の戌(いぬ)の日に妊婦は腹帯(岩田帯)を巻き、懐妊を神前に奉告して感謝の誠を捧げるとともに、胎児の無事な成育と安全な出産、新生児の健康を祈ります。これより妊婦は出産という聖なる場におかれるのです。近江神宮では安産祈願の御祈祷とともに、安産御守・岩田帯をお頒ちしています。トップページのカレンダーに戌の日を表示してありますので、参考にしていただければ幸いです。 犬はお産が軽く、多産であることにあやかって戌の日に腹帯を巻く習慣がありますが、必ずしも戌の日でなくてもかまいません。
七夜の祝いと命名
赤ちゃんの生後7日目に祝い膳を設け、無事出産したことに感謝を捧げます。この日に命名するのが古来のならわしです。親か祖父が選んで命名することが多いのですが、生命をいただいた産土の神様(氏神様)からその子の名を授かるのも意義深いことです。命名書は神棚に掲げて神様に奉告しましょう。
子の命名にはその時代の特徴や流行がありますが、子は親の持ち物ではなく、人の名前は社会的な存在であり、あまり突飛な名やなかなか読めないような独り善がりな名は避け、親しみやすく覚えやすい、その上でその人ならではの個性を表わす名を選ぶのがよろしいでしょう。近江神宮でもお子様の命名のお手伝いを致しておりますので、お問い合わせください。
初宮詣(お宮参り)
赤ちゃんが生れて初めて神社に参拝するのを初宮詣(はつみやまいり)、またお宮参りといいます。氏子入りを奉告するとともに、生児が健やかに成長するように祈ります。生後30日すぎとする地方が多いですが、75日目、100日目とする地域もあります。これを目安として、生児の体調を第一に考え、厳寒・酷暑の時期は避け、家族一同揃って参拝できる日を選びましょう。近江神宮でも初宮詣の参拝を受け付けています。産着の貸衣裳も衣裳部で承っていますので、お問い合わせください。
お食い初め
祝い膳に米飯・鯛などを添え、初めてご飯を食べさせる(食べるまねをさせる)行事。生後100日目または120日目が一般的です。「百日(ももか)の祝い」ともいいます。一生食べるものに不自由しないようにという願いをこめ、また長寿にあやかって近親の最高齢者から米の一、二粒を口にあてて食べる真似をさせます。また歯が丈夫にとの意味をこめて石を膳に置くこともあります。近江神宮で初宮詣のご祈祷を受けられた方にはお食い初め用のお膳を差し上げています。
初節句
男児は5月5日(端午の節句)、女児は3月3日(桃の節句)、生後初めての節句を祝う習わしがあります。男児は武者人形や鯉のぼりで力強い門出を祝い、女児には雛人形や桃の花を飾って、美しくすこやかな生育を祈ります。なお生後21日以内の場合は翌年にします。
初誕生
日本には昔は誕生日を祝う習慣がなかったのですが、初誕生だけは例外で、古来、生後満1年目の誕生日を祝い、無事成育していることを神様に奉告、感謝し、今後の成長を祈ります。誕生餅をついて子に踏ませたり、背負わせるなどの行事を行い、また餅を親戚・近所に配ります。
虫封じ
幼児は体調が不安定で、よく消化不良を起こしたりして、機嫌も悪く、夜泣きするなど、親を悩ませます。これを「癇の虫」といい、身に取りついている虫のしわざと考えられていました。その虫の気を取り除き、身体の健全を祈る習俗を虫封じといい、社寺に祈願します。
七五三詣
数え歳3歳男女児を髪置、5歳男児を袴着、7歳女児を紐解といい、11月15日を中心に神社に参拝し、成長を感謝し、将来の幸福を祈ります。古来「7歳までは神のうち」として尊ばれてきましたが、「三つ子の魂百まで」などというように、この年頃は子の成長期のなかでも重要な段階です。この大切な時期に神前に詣で、子の成長を祈願するのは、子供に対する無言の教育でもあります。
入学・卒業式
幼稚園への入園、小学校への入学は子の成長の大きな節目であり、学校教育を受けることは、家族・本人ばかりでなく社会全体にとって大切なことです。
さらに小学校卒業以降、中学校・高等学校・大学などへの進学は、本人にとって大きな人生の節目であり、一生をどのように生きるかを左右する重大な転換期です。入学試験の合格祈願もさることながら、入学の奉告と学業成就の祈願、卒業のお礼に神前にお参りしましょう。近江神宮の御祭神・天智天皇は、1350年前に日本で初めての学校をつくられた、学問の神様でもあられます。
十三詣
ちょうど小学生から中学生に向う数え13歳のころ、心身の成長と学業成就・将来への志の確立を析ります。子供から大人に向う転換期として、親からの自立、自我の確立など、子の成長にきわめて重要な時期といえるでしょう。かつては男子は元服と称し15歳頃に、女子は裳着(もぎ)と称し13歳ころに一種の成人儀礼が行われていました。現今の十三詣りはその名残で、男子はもともと15歳の参拝とする地方が多かったのですが、近年は男子の十三詣りも多くなってきました。
小学生から中学生へ、そして思春期に入るころで、子供にとって何かと精神的に不安定な時期です。学業とクラブ活動など、また友人関係や家族関係などにもいろいろと問題が起こりがちな時期でもあり、情緒の安定をはかる意味でも格好の節目ともいえます。
成人式
現在、満20歳をもって成人とされています。(令和4年4月から満18歳をもって成人とする改正民法が施行されます。)そして、1月第2月曜日を成人の日として祝日とされ、各自治体でその式典を行っています。一人前の大人としての責任と義務を自覚し、社会に貢献することを誓って、多くの新成人が神社に参拝するのはゆかしい習慣です。
結婚式
新しい人生への門出を祝う厳粛で歓喜に満ちた儀礼です。未知であった男女が結ばれるのはひとえに神々のお導き、見えない力の賜物といえましょう。三三九度の盃事によって神々の霊力をいただいて結び固めのしるしとし、その神恩に感謝し幸福な家庭をつくってゆくことを誓い、御加護を祈ります。神前での式は神々への誓いと奉告の場であり、披露宴は知人・関係者の間での社会的な承認を受ける儀式です。
結婚記念日
明治27年に明治天皇・皇后両陛下が銀婚式をお祝いされたのを機に、日本でも結婚記念日を祝うようになり、近年では神社で行う人が多くなっています。このように外来の儀礼をとり入れ、神事として行い、儀礼・行事の内容を豊かにしていくところに、日本人の生活習慣の幅の広さが表われています。夫婦がこれまでの来し方行く末をふりかえり、決意を新たにして神々の御加護を祈ります。成人した子供たちがこの日に両親の健康を祈り、感謝することも意義深いものです。
厄年
厄年は人の生涯の節目として平安時代の記録にも書かれています。古くから言い伝えられています。一定の年齢に達し、社会的にも重要な役割を担うようになるころは、それと相俟って心身の苦労・病気・災厄が起りがちであり、人生の転換期として注意すべき年巡りとして、自覚と慎みが必要な時期です。一般に男性は数え年25歳、42歳、61歳、女性は19歳、33歳と37歳を厄年といい、特に男性42歳、女性33歳は一生のうちの大厄といわれ、前年を前厄、当年を本厄、翌年を後厄として、3年間を忌み慎しむ慣わしとなっています。災厄に遭わないよう心がけ、年頭に神社に詣でて厄祓いを行います。
(近年は女性19歳、男性25歳などの小厄についてもその前後の年を前厄・後厄としてお祓いされる方が多くなってきました。)
厄祓いによって厄が転じて福となるという考え方は日本古来のもので、かつては厄祝いともいわれました。厄祓いの意味で親類知友を招待して宴席を設け、神社に物を奉納するなどが昔から行われています。日常の多事多忙に流されるなかで自己反省するのに好適な機会といえましょう。
厄祓いによって厄が転じて福となるという考え方は日本古来のもので、かつては厄祝いともいわれました。厄祓いの意味で親類知友を招待して宴席を設け、神社に物を奉納するなどが昔から行われています。日常の多事多忙に流されるなかで自己反省するのに好適な機会といえましょう。
年祝い(算賀祝い)
61歳の還暦、70歳の古稀、77歳の喜寿、80歳の傘寿、88歳の米寿、99歳の白寿など、長寿息災の祝いを行い、高齢者の働きに感謝し、長寿にあやかる行事です。多く神社にお礼参りをします。近年は、9月の敬老の日に氏子の長寿祝いを行う神社も多いようです。
近年は60歳70歳で元気で生活し、仕事もしていることはごく普通になってきましたが、元気で長生きできるかどうかは生活の仕方に大きく左右されるものであり、健康な高齢者になるための節目としての意味も大きいと考えられます。
TEL.
077-522-3725