平成29年の年柄

平成29年丁酉一白の年柄

 干支は丙申より丁酉に更新して、ここに平成二十九年を迎える。東日本大震災以降、地震の活動期に入ったといわれ、昨年は熊本地方に直下型震度七が二回と前代未聞の震災、さらに頻発する余震、東北、東関東、北海道等々、各地での大小の地震はまことに絶え間ない。地質時代さながらの地殻変動の真っ最中のようである。また夏ともなれば水害の季節の感を呈し、さらには時折噴火する各地の火山など、災害列島といわれるような日本の地に、あまたの災害を乗り越えて歴史を築いてきた世々の祖先に、深く感謝の気持ちを寄せずにはいられない。
 本年は明治百五十年、大政奉還から満百五十年。そして天智天皇の近江大津宮・大津京遷都一三五〇年の年である。天智天皇の時代はまさに律令制度の母胎となって明治維新までの千二百年を貫き、当時としての文明開化と国防に力を尽くした時代として明治に直結している。
 
 本年の十干の丁は火性の陰で、丙が太陽の光熱のような強大なエネルギーを指しているのに対し、提灯・蝋燭の火のような身近で勢いの弱い火を指し、強いとか盛んの意味はあるものの、成熟して勢いが小さくなり安定した状態を表わしている。「丁丁(とうとう・ていてい)というと音を形容することばであり、雨の降る音、木を切る音、琴を弾く音、鳥の鳴き声などの意味があるが、「丁丁たる漏水夜何ぞ長き」「丁丁として漏尽くるに向ひ」という詩句もあり、漏刻の刻む音をも表わしている。「丁寧」というと、銅鑼とか鐘を指すのが本来とされる。千三百五十年の時を隔てて漏刻の水の流れる音、そして漏刻による時報の鐘の音を聞くような年巡りである。
 酉は十二支の第八番で、酒の原字であり、酒壺、酒樽の象形。酉を部首とする漢字はほぼ全てが酒にかかわる文字である。時間をかけて熟成することを表わし、秋八月に黍が成熟し醸造することから、成る、老いるなどの意味に用いる。一年では中秋八月、一日では夕方(日の入り前後、暮六ツのころ)、方位では西である。成熟の極みに達し、陰気が下から起こり後退、老化過程に入ることを表わす。秋分の後夜が長くなり陰の気が勝っていく季節の移行を表わしている。
 
 十二支の字義と十二支に当てはめられている動物とは本来関係ないのだが、酉を鶏と考えれば、鶏鳴によって夜明けを知らせる動物である。古くは時を知るために飼われていたという。一番鶏は丑の刻、二番鶏は寅の刻という。また丑の刻の異称を鶏鳴ともいう。また元旦のことを鶏旦、鶏日、鶏明ともいう。だから十二支の酉が金気で夕暮を表わすのに対し、動物の鶏は木気で朝を表わす。神・精霊の時間である夜と人の活動する時間である昼間との境目を知らせる霊鳥とされた。常世の長鳴鳥の神話は天照大神が天の岩戸に隠れて永遠の夜になった時、鶏鳴によって朝を呼び起こそうとしたわけである。いわば鶏鳴によって無理やりに朝を訪れさせ、魔物を追い払うことができると考えられたのである。
 一番鶏が鳴いて夜明けが来ないと関所の門は開けられない規則であったが、鶏鳴の真似をして深夜に開けさせたという函谷関の鶏鳴の故事は、それを無理押ししたものである。これを踏まえた清少納言の歌「夜をこめて鳥のそら音ははかるともよに逢坂の関はゆるさじ」が百人一首に採り上げられている。嘘の鶏鳴では函谷関は開いても逢坂の関は開きません、あなたの恋慕は受け入れられませんよという歌である。
 ニワトリの語は「家の庭の鳥」ではなく、「斎庭(ゆにわ)の鳥」の意味だとする説がある。また木綿付鳥(ゆふつけどり)といい、古く都の四方の境で幣束を付けた鶏を放ち(または神に捧げ)、疫病や悪鬼が入り込まないように祭りを行ったといわれている。鶏はそのような神聖な時告げ鳥であった。
 消長卦では酉は風地観といい二陽四陰の形で、下からもたげてきた陰の気が増え続け、陽気が衰弱していく状態を表わし、十二支の酉の象意を示しているが、同時に上の卦は風、下の卦は地を表わし、大地の上を風が吹きわたっている状態を表わしている。風が地上を吹くとき、あまねく万物が行き渡り、澱んだものを吹き払い、新鮮なものをもたらす。強すぎれば暴風となって世の中を破壊することにつながる。地上に風が吹き荒れ、既成秩序が崩壊し、社会変動につながっていく。時代の転換、新時代の訪れを象意しているのである。
 近年、少子高齢化などによる社会保障の行き詰まりをはじめ、なかなか脱却できないデフレ経済、向う当分続く人口減少の趨勢など、成熟社会のなかで従来の社会経済の枠組み自体が限界に来ているといわれるようになってきた。狂暴化するテロ事件や民族抗争が頻発し、また遠心力のように渦巻く統合から分断への動きが顕在化し、世界は急激に不安定さを増している。数百年レベルでの時代の移行期ともいわれる。転換期は混乱の時代である。まことに困難な時代であるが、このようなときこそ、一時の熱狂でなく冷静に四方世界を観察し、長期的な視野をもって新たな戦略を熟慮しなければならない。「風地観」の「観」とはしっかりと見て示すことであり、まさにその意味するところがここにある。
 本年の九星は一白水星。水は万物を潤し、生命を育てる力。琵琶湖を擁する滋賀県としてはその意味でも重要な年である。そしてまた、一三五〇年前の大津京遷都の年も一白水星。前年の冬には都の鼠が近江に向って移動したといい、半年後の大津京遷都を暗示したとされる。飛鳥の都から大津はほぼ真北。北は子(ね)の方角であり、一白の方角である。まことに多難な時代であるが、近江大津宮・大津京遷都一三五〇年のこの年、一白水星の水気の示す瑞々しさをもって新たな時代への先駆けとして困難を乗り切っていただきたい。
                                   (平成29年『開運暦』より)
近江神宮
〒520-0015滋賀県大津市神宮町1番1号
TEL:077-522-3725
FAX:077-522-3860

http://oumijingu.org/
-----------------------------------------
ご祭神 天智天皇(天命開別大神)
ご神徳 時の祖神
開運・導きの大神
文化・学芸・産業守護
-----------------------------------------
・参拝時間   6:00~18:00
・ご祈祷    9:30~16:00
・お守り等   9:00~16:30
・時計館宝物館 9:30~16:30
・結婚式打合せ 10:00~16:00
-----------------------------------------
【参拝所要時間】
参拝のみ:駐車場より10分程度
日時計・漏刻等観覧:5~10分程度~
時計館宝物館: 15分程度~
-----------------------------------------
車いす利用 時計館横から外拝殿までスロープあり。時計館横に車いす用トイレあり。時計館横まで身障者用自動車は乗入可能
-----------------------------------------

【祭典行事予定】
◆4月19日 例祭宵宮祭
◆4月20日 例祭
◆4月23日 近江まつり 
◆4月29日 大津京遷都1350年奉告祭
      記念行事 
トップページ下欄のカレンダー記載の祭典時刻は30分程度早める場合があります。祭典中でもご祈祷はできます。
2
3
6
4
1
0
7